第9章 彼は死なない

杉浦美雪の声が、病室に炸裂した。

杉浦杏奈は首を傾げて彼女を見る。無垢で、きょとんとした顔だった。

「美雪? どうしたの?」

杉浦美雪は布団の中で激しく震えていた。今すぐベッドから飛び降りたい。杉浦杏奈を突き飛ばしたい。藤原智彦のもとへ縋りつきたい。

けれど、できない。

布団をめくった瞬間、杉浦陽向に全部見られてしまう。首筋に残るキスマーク。胸元の歯形。太腿にまだ拭いきれていない精液の跡まで。

杉浦美雪は助けを求めるように杉浦陽向を見た。目の奥には哀願と恐怖、そして口にできない羞恥が滲んでいる。

杉浦陽向は病室の入口に立ったまま、ゆっくりと中を見渡した。

乱れたベッド。空気に...

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